MENU
プリズマのこだわり アイテム一覧 色見本 価格表 コレクション ご利用ガイド
閉じる

コラム

価格表

カテゴリーから商品を探す

カラーから商品を探す

 
色見本
コラム No.28

独自の存在感を放つ:ブラックマジック ―バンドT・ムービーTを魅せるプリントテクニック―

「バンドT」や「ムービーT」などのジャンルで呼ばれるプリント商品は、もはや単なるファングッズにとどまらず、独自のカルチャーを築き上げたファッションアイテムとして広く親しまれています。
昨今では、ヴィンテージTシャツが市場で高額に取引されるケースも散見され、コレクター向けのレアアイテムとしても注目されています。

こうした動きは、我々プリント工場の視点から見ても非常に興味深く、プリント技法や表現の奥深さを改めて考えさせられる存在となっています。

今回は、この代表的なプリント技法にフォーカスし、いくつかの事例を交えながら、その魅力と可能性についてご紹介していきます。

1. ブラックマジックについて

大まかに言えば、Tシャツなどのブラックボディにプリントする際に、グラフィックの“真っ黒な部分”をあえてプリントせず、ボディの黒地をそのまま生かす手法です。
生地とプリントがシームレスに溶け合い、黒地へとフェードしていくような奥行きと深みのある表現が生まれます。

下地なし
下地あり

※プリントデータから「ブラック」の要素を排除します。

●インクジェット登場以前は、グラフィックに合わせてブラックマジックならではの分版・製版を行い、その仕様に応じたインクの調合やスキージングの試行錯誤を繰り返しながらプリントを仕上げていました。
プリント職人の高度な技術と感覚によって、美しいシルクスクリーンプリントが完成していたのです。
現在は作業性・生産ロット数・コストの観点から、主に濃色インクジェットマシンでのプリントを採用しています。


※多色版が必要なシルクスクリーンに比べ、配色展開やデザイン変更に迅速に対応できるため、小ロットや多品番の生産に適しています。

●ブラックマジックの魅力を最大限に引き出すために(美しい仕上がりのために)
ブラックマジックは、単に“黒インクを使わないプリント”という技法ではなく、グラフィックデータ作成段階から黒ベタの面積やグラデーションの加減を計算しながら「黒をどう見せるか」を計算しグラフィックを組み立てていきます。

●分版データによるインク量コントロール
さらに、データに基づいて作成した「分版データ」を用いてプリント時のインク量を適切にコントロールし、仕上がりの質感や着用時の快適性を保ちながら、美しいプリント表現を実現します。


※ブラックマジックに適したプリントデータを準備することが重要です。

2. ブラックマジック(インクジェット)

●ブラックボディありきの――いわゆるバンドTやムービーTにおける“ブラックマジック”。
通常のインクジェットプリントでは、黒インクの下にも白インクが入る場合があり、それによって黒インクの発色が浅くなる傾向があります。


※黒インクをブラックボディで代替することにより、より深みのある黒を表現できます。

●インクジェットプリントでは、使用できるインクの総量がマシンによって決められていますが、ブラックマジックの場合は「黒インク」を使わないため、他のカラーに容量を割り当てることが可能です。その結果、ベタ面のスジやムラといった仕上がり上の課題が軽減され、より安定したクオリティが実現できます。


※実際には、ブラックの濃淡を際立たせるためにアンダーホワイトを使わず、あえて黒インクを直接プリントする――そんな一見逆説的な手法が用いられることもあります。

各プリント工場には、それぞれの“秘伝”ともいえるノウハウがあり、こうした職人たちの緻密なコントロールによって、深みのある表現が生まれます。

●ステージライトやネオン管のような、幻想的で輪郭の曖昧なモチーフは、ブラックマジックならではの魅力が際立つプリント表現です。

●意図的に粗めに処理した「ザラザラ」とした粒子感のあるグラフィックとの相性も抜群です。


※網点でのフェードとは異なる、インデックス(ディザ)データでのプリントです。

●さらっとした着心地のボディには、プリントが「重厚」にならないよう、ブラックマジックが向いています。


※使用ボディ GAT500(リングスパン)

トラス GAT500 ヘビーウェイトTシャツ
ブランド
トラス
カラー
28色
サイズ
11サイズ(110〜XXL)
素材
綿100%/ヘザーグレー綿85%レーヨン15%
価格

¥600~

(税込 ¥660~)

アダルト キッズ

3. 特徴的なブラックマジックプリント

●アンダーホワイトをあえて控えめにプリントすることで、シルクスクリーンにおける「半ラバープリント」のような仕上がりを得ることができます。
ホワイトのインク量を調整し発色を抑えることで、ボディに自然に馴染んだ落ち着きのある表現が可能になります。


※トーンを意図的に沈ませたい場面において効果的なプリントテクニックのひとつです。
※使用ボディ:00106CRT 005/ブラック

おすすめ! プリントスター 00106CRT 5.6オンス ヘビーウェイトラグランTシャツ
ブランド
プリントスター
カラー
8色
サイズ
7サイズ(XS〜3XL)
素材
綿100%/杢:綿80%ポリエステル20%
価格

¥730~

(税込 ¥803~)

アダルト

●グラフィックの味付けとして「かすれパターン」で加工したデータでプリントしています。
このボディもバンドTでよく使用されるラグランT七分袖を使っています。


※使用ボディ00107CRB 005ブラック

おすすめ! プリントスター 00107CRB 5.6オンス ヘビーウェイトベースボールT
ブランド
プリントスター
カラー
8色
サイズ
7サイズ(XS〜3XL)
素材
綿100%/杢:綿80%ポリエステル20%
価格

¥900~

(税込 ¥990~)

アダルト

●ヴィンテージTシャツをシミュレートした「ユーズド風データ」をインクジェットでプリント。
実際にインクが欠落したような箇所は生地が見えるように処理しています。


※使用ボディ:PGT144 83/Pブラック(加工感のあるピグメント染Tシャツ)

クロススティッチ PGT144 6.2オンスピグメントTシャツ
ブランド
クロススティッチ
カラー
4色
サイズ
4サイズ(M〜XXL)
素材
綿100%
価格

¥1,440~

(税込 ¥1,584~)

アダルト

●濃色インクジェットはビッグサイズ(35×45cm以上)でのプリントが可能です。
Tシャツ全面に大きくプリントされたグラフィックは非常にインパクトがありますが、その分インクの使用量も増え、仕上がりがやや重く感じられることがあります。ブラックマジックを用いることで
インク使用面積を抑えつつ、べたついた圧迫感を軽減し、自然で軽快な仕上がりを実現できます。

●DTFのプリント限界サイズは最大35×45cmのため、それ以上のサイズをご希望の場合はインクジェットが第一候補となります。(ボディ品番・サイズにより制限があります)


※ギルダン2000:左 XLサイズ(プリントサイズ 50×62cm)/右 2XLサイズ(プリントサイズ 50×57cm)

ギルダン 2000 6.1オンス ウルトラコットンTシャツ
ブランド
ギルダン
カラー
47色
サイズ
10サイズ(YXS〜3XL)
素材
綿100%/アッシュのみ 綿99%/ポリエステル1%/ヘザーカラー 綿50%/ポリエステル50%/セーフティカラー 綿50%/ポリエステル50%
価格

¥650~

(税込 ¥715~)

アダルト キッズ

●応用として「レッドマジック」や「ネイビーマジック」といった試みも可能ですが・・・
プリントデータの作成にはひと工夫、ふた工夫が必要です。


※レッドマジック


※ネイビーマジック

うまくいけば、生地カラーに自然に馴染み、心地よい仕上がりが期待できます。

4. ブラックマジック(シルクスクリーン)

●「ダイナミックなグラフィックをシルクスクリーンプリント」も一つの方法です。
ブラックマジックの手法はフォトプリントの再現にとどまらず、データ作成の工夫次第でボディカラーをグラフィックに巧みに取り入れ、使用する色数(版数)を抑えることが可能です。コスト面でのメリットも生まれ、限られた色数でも印象的なビジュアルを生み出す魅力的なプリント表現が実現します。


※シルクスクリーンでのインデックスディザ分解4版プリント

●できるだけ版数を抑えながらも、しっかりと印象に残る表現を追求したい――
そんなときは、モノクロデータに発色の良いラバープリントを組み合わせてみるのも一案です。色数を抑えつつも存在感のある仕上がりが期待できます。


※ブラックボディにホワイト版+カラー版でのシルクスクリーン2版プリント

5. DTFとの比較検証

以前のコラムでも触れましたが、DTFは諧調表現(ドット)などの細やかな表現に限界があるため、生地の色へ自然にフェードしていくようなデザインは再現が難しい場合があります。
DTFでしか対応できない素材――たとえばカラートートやドライ素材への多色プリントなどでは、頭を悩ませることもあるかもしれません。そんなときは、思い切ってDTFの特性に合わせて別の切り口からデザインを構築してみるのも有効な選択肢のひとつかもしれません。


※全体的なグラフィックの方向性はそのままに、「レイアウトを変えてしまう」という強硬手段の一例。
左-インクジェット  右-DTF

●(あくまでも好みの問題ではありますが)
自然に生地になじむような表現を求めるなら、やはりブラックマジックが最も理想的な方法と言えそうです。


※左:プリント用データ/中央:インクジェット/右:DTFを単純比較

6. 終わりに

■関連ムービー紹介:ブラックマジック(バンドT・ムービーTを魅せるプリントテクニック)

■関連ムービー紹介:インクジェットで中古風プリント(ユーズド感の表現)

「ブラックマジック」は古き良きTシャツ文化の一端を支えてきたプリントテクニックのひとつです。
その独特なプリントイメージと風合いは、多くのファンに長年愛され続けています。
プリントにもデジタルの波が押し寄せ、トレンドが目まぐるしく移り変わる現代においても、「ブラックマジック」が生み出すグラフィックTシャツには独自の存在感があり、手に取る人に特別な思いを抱かせます。その魅力は色褪せることなく、時代を越えてTシャツプリントに新たな価値を吹き込み続けています。
ブラックマジックプリント作成に関するご質問等ございましたら、お気軽に弊社営業あてお問い合わせください。

お問い合わせフォーム