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達人インタビュー

イラストレーター イセ川ヤスタカ

もちろんイラストレーターにも戦術や学ぶ姿勢が必要です

スクエアエニックスのPS Vita版ゲーム『拡散性ミリオンアーサー』などのゲームイラストを手がけるイラストレーター、イセ川ヤスタカさん。

今回は、芸大でアートを学んだイセ川さんがイラストレータとなったきっかっけやイラストのトレンドの変化、さらには専門学校で教える中で感じるコンテンツ消費のカタチなどについて話をうかがいました。

イセ川ヤスタカ先生写真

イラストレーターになったきっかけを教えてください。

小学生の時は、ポケモンや鳥山明先生の漫画のキャラを真似して描くのが好きで。

大学進学時に、国公立大学へ入学するという親との約束があって、勉強したくはないが大学には行きたい、という想いを実現する方法が芸術系の国公立大学への進学でした。

もちろん、アートとしての絵の勉強をやりたかったというのもあります(笑)

最初はアーティスト志望だったんですか?

油絵学科だったのですが、入学してすぐに「来る場所を間違えた」と(笑)。
そんな時に村上隆さんの存在を知ったんです。

漫画などのエッセンスを抽出してアート作品に昇華させる手法に「これもアートなんだ」と感じて、そういった絵を描き始めました。

最終的にアーティストの道は断念したんですよね?

断念した理由は3つあります。
ひとつは、日本では多くのアーティストが食べていけないこと。
ふたつめは、大学院に進学できなくなって海外留学ができなくなったこと。
そして最後は、先輩が働くゲーム会社でアルバイトをしているうちに、好きな絵を描いて食べていく方法が見つかったこと。

3つめが、今の仕事につながっているんですね。

アルバイトしていたのはソーシャルゲームを作る会社だったのですが、もともと漫画が好きで「イラストの世界なら好きな絵を描いて食べていくことができる」と考えました。

そして、pixivなんかに作品を出しているうちに大手企業からも声が掛かるようになり、フリーランスでやろうと決意したんです。

今はソーシャルゲームのキャラデザインを中心としたイラストの仕事に加えて、専門学校でも教えています。

イラストを描く時に大切にしていることはありますか?

タランティーノと庵野秀明が好きなんですが、二人は作品がオマージュでできている点がとても似ています。
私自身も仕事で描くイラストにオマージュを込めるようにしています。

もちろんオマージュを知らなくても成立していますし、クライアントに気づいてもらう必要もありません。
ただ、たまに気づかれると、相手との距離が一気に縮まったりします(笑)

イセ川さんというと、「女の子×メカ」なんですが、描く時に意識していることはありますか?

かわいい女の子を描くのは本当に難しいです。
実は「かわいい女の子のイラスト」って時代によって変化しているんですよ。

例えば、サザエさんも発表当時はあの髪型がオシャレな髪型だったはずで(笑)。最近のかわいい女の子イラストのトレンドとしては、徐々に目が小さくなってきています。

メカは形を正確に描かないとダメなので大変で、リアルなメカを正確に描くのは本当に難しいです。例えば砲身の円柱って、円柱に見えないと絶対にダメですから。

イセ川さんは、常にマーケティングを意識しているような気がします。

確かに市場のニーズに合うイラストを描くという点では意識していたかもしれません。「女の子×メカ」もそうして生まれましたし。
ただ、これだけだと受け身になってしまい、限界がある。

今は、イラストレーターにもクライアントのためにもなる、イラスト作成の仕組みづくりに試行錯誤しています。

専門学校の先生もされていますね。

今の学生って、インターネットなどで自分が見たいものしか見ない生活を送っています。テレビすら、自分の周囲で人気になったり話題になった特定の番組しか見ないんですよ。

ここまでインプットが同じになると、当然アウトプットも同じなので、みんな個性が一緒。教えていると如実に感じます。

興味がないものも、情報としてインプットすることが人間の多様性につながるんですが、学生たちはそうした機会をほとんど持とうとしない。

ファーストガンダムを見たことがある学生すら少なくて…なぜなら周囲の友達が知らないから、見なくて良いという判断なんです。

それは驚きです。

コンテンツが、「見て楽しむ」ものではなく「シェアして楽しむ」ものになっている。
シェアできないと、それは楽しいものと認識しないんです。

これって本当は楽しんでいるのではなく、単なる情報収集に過ぎないんですが、今の子はここまでで満足してしまうことが多いようです。

もっと多様なインプットをしてもらえれば。

作画環境を教えてください。

完全フルデジタルですね。実は今、下絵や本線を描くのにiPad Proを使っていて、カフェで作業することも増えました。
パズドラのキャライラストを描いている人が、iPad Proで線画まで描いていると知って使い始めたんです。

最近は、メモやアイディアスケッチも全部iPad Pro。ソーシャルゲームの場合はApple製品がデフォルトになるので、本番の色味を知る上でも便利です。

これからイラストレーターをめざす人にメッセージがあればお願いします。

学校の勉強って大事だと思いますよ。
ただ、本当に大事なのは、中身よりも試験勉強や受験勉強を通じて勉強のやり方を知っていること。

ちゃんと知っていれば、本当にやりたいことを発見した時、苦手なことを得意なことでカバーする戦術を立てたり、やりたいことを実現するために学ぶ姿勢を貫くことができますから。

もちろんイラストレーターにも戦術や学ぶ姿勢が必要です。イラストレーターをめざす人は、ぜひ日頃の勉強もしっかり取り組んでくださいね。