コラム No.14
トートバッグ(エコバッグ)について【前編】

レジ袋の有償化により商機拡大

レジ袋の有償化により、日本国内におけるエコバッグの需要は拡大しており、そこには大きなビジネスチャンスが広がっています。ここからは、レジ袋の有償化制度の内容やエコバッグを含む新しいビジネスチャンスについてご説明します。

有償化制度の内容

レジ袋の有償化は、これまで日本に定着していたレジ袋が、海洋汚染や地球温暖化といった問題に大きく影響していると考えられることから、これらの問題に対応するために行われることになりました。日本政府は2019年、レジ袋への依存をなくすための戦略を定め、その一部としてレジ袋を無料で配ることを禁止し、小売店などにこれらの有料化を義務づけました。日本にはすでに「容器包装リサイクル法」がありましたが、関連する法令でもカバーできなかったため、今回のような制度を規定することになったようです。
レジ袋の有償化制度は、2020年7月1日に開始され、小売業者が消費者に商品を販売する際は、レジ袋を有償にて提供、もしくは提供しないことになりました。これにより温暖化の原因となるCO2の排出を抑制し、エコバッグの利用を促進することで、人々のライフスタイルを変えることを目的としています。
レジ袋の有償化では、レジ袋に定価を設定し、商品を消費者に販売する際は対価を得ることを義務づけています。この有料化は、あくまでレジ袋の対価という扱いになり、仮にポイントの付与や値引きを、レジ袋を使わないことの対価とすることは含まれていません。
有償化するレジ袋の価格設定は、小売業者が行うことになります。あくまでレジ袋有償化制度の目指すところに準じる形で価格設定を行うことと、1円以上の価格をつけることが小売業者に求められます。小売業者は、このレジ袋の売り上げの使い方も自主的に判断可能ですが、制度の考え方に則った使い方をすることを、積極的に消費者に向けて発信することが推奨されています。レジ袋の有償化という人々のライフスタイルに影響する制度は、今後ますます、エコバッグの利用が広がることを意味しています。

有償化によるビジネスチャンスの拡大

レジ袋の有償化によるビジネスチャンスの拡大は、さまざまな方面に及ぶと考えられています。日本政府は、この制度により、リサイクルを促進し、プラスチックゴミの量を減らそうとしています。この国の動きは、そのまま巨大なビジネスへとつながる…そう考えている企業は数多くあります。国の今回の動きは、プラスチックゴミの投棄を今後減らしていくことへの序章です。レジ袋の投棄量は、実は日本で1年に捨てられるプラスチックゴミのほんの一部です。レジ袋を有償化するだけでは、自然環境に対しては微々たる好影響しかないと考えるのが妥当。つまり、このレジ袋の有償化は、日本国民がエコロジーに対してもっと考えるための施策に過ぎないのです。
プラスチックゴミが海に流出し、波などにより細かく砕かれると魚がそれを摂取。それを人間がまた摂取するという悪循環が生まれる…こんなニュースが話題になりました。レジ袋を含むプラスチックゴミは、私たちの生活を便利にしてくれましたが、近年、それらが環境、そして人間へと及ぼす悪影響が懸念されているのです。
日本の場合は、プラスチックゴミの再利用も課題です。日本は世界で2番目のプラスチックゴミの排出国であり、リサイクルは必要不可欠です。レジ袋の代替としてのエコバッグには当然、ビジネスとしての可能性があります。小売業大手だけではなく、多くのファッションブランドが、トートバッグなどのエコバッグを発表し、人気になっています。再生原料をエコバッグに取り入れたり、ノベルティグッズとしてエコバッグを利用したりすることも、ビジネス拡大につなげる策になることは間違いありません。

エコロジーとマイバッグ

近年、エコロジーをベースにした有名人、海外セレブなどのライフスタイルがSNSで拡散されることで、多くの人々が彼らにあこがれ、そしてエコロジーにもいいイメージを持っています。この状況を理解するのに役立つのが「エコ」と「ロハス」という考え方です。

エコとロハス

ロハスという言葉は、2000年代の中頃によく聞かれた言葉です。エコロジーとロハスは、近い考え方ではありますが、ロハスはエコロジーほどストイックではありません。ロハスには「緩さ」があります。
エコロジーの考え方では、まず地球という環境があり、私たちはそのためにできる限りのことをします。
一方のロハスでは、まず私たち自身がいて、そして地球という環境があり、私たちはできる範囲でそのためにできることをします。
レジ袋の有償化はまさしくエコロジーです。ロハスは、たとえば「環境のことを考えて自家用車ではなく公共交通機関を使う」とか、「農薬を使っていない野菜を買う」などの行動のことです。エコロジーとロハスは、似ているようで視点がまったく異なります。エコロジーは環境中心。ロハスは自分の考え方が優先されます。私たちの多くは、環境を保護するために何かをしようと考えていますが、すべてにストイックになるのでは精神的に豊かな生活を送ることはできません。どちらかというとこのロハスの考え方は、セレブのようなライフスタイルにあこがれ、そして地球にやさしいおしゃれなエコバッグを購入したいという人たちに合っていると思います。これはエコバッグをビジネスにつなげるためのヒントにもなるでしょう。

セレブに見るエコなライフスタイル

エコロジーやロハスといったライフスタイルを看板にしているセレブたちが多く関わるファッション業界は、実はエコでもロハスでもない業界です。ただ、これはファッション業界がどうこうという話ではなく、消費サイクルによるものだといったほうがいいでしょう。実は服もレジ袋と同じように、長い間、着られるのではなく、サイクルが短いのです。意外に早く捨てられてしまうため、廃棄物として地球環境の負担になってしまっています。リサイクルも進んでいないので、立場的にはレジ袋にかなり似ています。
この問題を積極的にSNSなどで発信しているのがセレブリティです。かつての女優やモデルにとって、人前に出る度に違う衣装をチョイスすることは当たり前だったかもしれません。しかし、エコなセレブは違います。何度でも同じドレスを着用し、しかもリサイクル素材で作られたドレスも着用します。そんな彼らの考え方や生き方に多くのファンが賛同し、エコやロハスなライフスタイルの輪はどんどん広がっていくのです。
最近、とてもよく聞かれる「持続可能な社会」という言葉。地球、そして自然といった私たちを取り巻く環境が、後世まで持続するよう努力をするとともに、今いる私たちのためにも利用できるよう開発をしていく社会のことです。現在のファッション業界では、この持続可能な社会がキーワードになっています。今、そしてこれからのファッションは、後ろめたいことをせずに、未来につながるファッションが「おしゃれ」だと考えられるようになっているのです。エコバッグも、このような視点で作りたいものです。

エコバッグでレジ袋は減らせる

日本人はこれまで、年間にひとり当たり、約300枚のレジ袋を使用してきたそうです。レジ袋が有償化され、人々がエコバッグを使うようになれば、ひとり当たりのレジ袋消費数は間違いなく減り、ひいては、廃棄する数も減らすことができるでしょう。レジ袋は、私たちの生活の中で欠かせないものでした。買い物袋としてだけではなく、ゴミ袋として多くの人が利用していました。ただ、観光やレジャースポットでは、コンビニやスーパーのお弁当や飲み物などの生ゴミが大量に捨てられ、カラスや野生動物が食べ散らかすなどの問題も発生し、大きな問題の種となっていたことも事実。私たちの生活を便利にしてくれたレジ袋が、環境にとって悪となってしまったのです。
レジ袋は、すでに触れたとおり、石油から作られます。もう少し詳しく言えば、ポリエチレンなどの石油から作られる樹脂を原料にして作られています。このレジ袋の製造過程、そして焼却する過程では、多くの二酸化炭素が発生するのですが、これはグリーンハウスガスの素になっており、世界でも「人により作られる」原因物質の中でもっとも多いとされています。グリーンハウスガスは、大気圏に存在する地球温暖化の原因だと考えられており、二酸化炭素の排出を削減することは、地球環境、そして私たちの命を守るうえで大きな課題。エコバッグがレジ袋に取って代われば、二酸化炭素の排出量は確実に減らせます。

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後編:トートバッグ(エコバッグ)について【後編】