コラム No.11
クラスTシャツについて(3)
著作権に気をつけて

クラスTシャツについて(3)著作権に気をつけて

クラスTシャツとは、文化祭や体育祭などの学校のイベントのときに着る、クラス全員でおそろいのTシャツのことです。1990年頃から普及しはじめ、現在では定番のアイテムになっています。昔は既成のTシャツにワンポイント入れる程度だったデザインも、現在はさまざまに進化しました。
しかしそんなクラスTシャツも、全部の工程を見ていくとなかなかハードな制作物です。ほぼ素人に近い数十人のコンセンサスをまとめ、一つのデザインに落とし込み、それを期日までに外部の会社に実際に支払いをして作っていくというのは、社会人にとってもなかなか大変な仕事です。そのような過酷な作業を仲間と一緒にやり遂げたことも、良い思い出となるでしょう。
また、もともとは高校生のイベントグッズだったのですが、定番グッズの位置を獲得するにつれ、中学生、小学生、幼稚園というように活躍の場所を広げていき、クラス全体から、部活や部活の行事といった、より規模の小さなイベントにも範囲を広げていきました。また社会人になったあとも、友達同士のちょっとしたイベントでもおそろいのTシャツを作るということも出てきました。そうなるともはや「クラス」限定ではないのですが、ここではクラスTシャツというように呼びます。

前回の「クラスTシャツについて(2)クラスTシャツの制作の流れ」に続き、今回は「クラスTシャツ」を制作するうえで気をつけなければいけない「著作権」について解説します。

著作権に気をつけて

アニメやマンガのキャラクターやアーティストの曲名や歌詞には著作権があります。権利者に無断でそれを使用することができません。
つまり、クラスTシャツにどこかからかダウンロードしてきたそれらを勝手にコピペして使うことはできません。

• 漫画・アニメ・商品・企業のキャラクター
• 企業ブランドのロゴ・イラスト
• CDや雑誌の写真・タイトル・文章
• タレントの名前・歌手名

などが著作権のあるものとなります。
もし使用する際は、著作権者に許可をとってから使用しなければなりません。一般的にアニメや連載中の漫画などは許可が降りないでしょうけど、中には意外なほどすんなりと許可してくれる場合もあります。消費者向けの商品(特に食品や飲料などターゲット層が学生のもの)で、個人やクラスではなく学校を通して許可申請した場合に、その会社の広報の一環として許可が降りることがあります。販促グッズを送ってくれたり、Twitterで公式アカウントがリツートしたりするということもあるかもしれません。そうなるともはや中高生といえども企業の広報部とやっていることが変わりませんし、やりすぎということもあるかもしれません。学校という場で特定の企業と「タイアップ」してしまうことが許されるのかは、社会がどこまでこれを許容するかは分かりません。これは今後のパブリシティの課題になると思われます。

学校で使うときには著作権は大丈夫って聞いたのだけど?

いいえ。間違いです。たしかに著作権法第35条では「学校などの教育機関に置いて授業で使用する場合、著作物を複製する際の許可は必要ない」とされています。しかし、これは教材として授業で使用する場合を想定しており、文化祭や体育祭で着るためのTシャツにも適用するのは無理があろうと思われます。

著作権第35条
学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができる。

コピーではなくて改変したから大丈夫なのでは?

いいえ。元のキャラクターと類似性が認められる場合、つまり元ネタが分かるようなデザインの場合は権利保有者からの許諾が必要になります。仮に顔にモザイクを掛けていたとしても元ネタが分かるようではだめですし、元ネタの判別がつかないほど変更するのならば通常使う意味はないかと思います。
ましてや目線一本いれたからOKなどということはありません。

コピーじゃなくて自分で描いたから大丈夫なのでは?

いいえ。元のキャラクターと類似性が認められる場合というのは自分で書き起こした場合でも同じです。パロディやオマージュという性質を持っていても、意図によって区別されるものではありません。判断の難しいところではありますが、Tシャツ作成業者がこのデザインを受け付けない可能性があります。  

学校の中でたかが一日お祭りをするぐらいのことだから大丈夫じゃないの?

いいえ。昔と比べて今は著作権についての認識が厳しくなりました。また今はスマホとSNSがあり、クラスTシャツを着ている姿をネットにあげることが一般化しています。むしろそれが目的になっています。したがって学校の中で一日だけというのは実態から外れていますし、いわゆる身バレして炎上したのではあんまりでしょう。

個人制作・家庭内使用だからいいのでは?

たしかに著作権法では「著作物は、個人的または家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的とするときは、使用する者が複製することができる」と定められています。
しかし著作者から利用許諾を受けていない場合は、業者に作成依頼するとアウトですし、自宅で制作したものでも家庭内で着用するとアウトです。写真を撮ってSNSにアップロードしてもアウトです。家の中で撮った写真だからOKというわけにもいきません。

それぐらいでばれないでしょ

いいえ。スマホとSNSでそんなことはなくなりました。
そして、そのトラブルが見えているのでクラスTシャツ作成業者も著作権の侵害が明らかであるようなデザインは受け付けなくなっています。
ネットのQ&Aなどにも「それぐらい大丈夫だ」「それぐらいで訴えられたりなんかしない」といった意見は散見します。たしかに著作権者の親告ということだったらそうなのかもしれません。しかしスマホで撮ってSNSにアップすることを全面禁止するのは無理があろうと思われますし、そもそもそれを禁止するのならば何のためにクラスTシャツを作るのかの意味もなくなります。著作権者の耳に達しなかったとしても炎上してしまったらせっかくの思い出が台無しですし、炎上などではなくごくやんわりと指摘されたとしたって、せっかくみんなで良いものを作ろうと思って協力した行為が台無しになるのは確かですし、それがデザインを作ったり決めたりした人への攻撃へと変わるかもしれません。

自分のころはこれくらい平気だったから大丈夫でしょ

いいえ。今の中高生の親御さんが中高生だった頃とは時代が大きく変わっています。著作権に対する意識も世間の目も厳しくなったし、スマホやSNSで拡散するようになりました。

次回:クラスTシャツについて(4)クラスTシャツのデザイン
前回:クラスTシャツについて(2)クラスTシャツの制作の流れ