コラム No.10
クラスTシャツについて(2)
クラスTシャツの制作の流れ

クラスTシャツについて(2)クラスTシャツの制作の流れ

クラスTシャツとは、文化祭や体育祭などの学校のイベントのときに着る、クラス全員でおそろいのTシャツのことです。1990年頃から普及しはじめ、現在では定番のアイテムになっています。昔は既成のTシャツにワンポイント入れる程度だったデザインも、現在はさまざまに進化しました。
しかしそんなクラスTシャツも、全部の工程を見ていくとなかなかハードな制作物です。ほぼ素人に近い数十人のコンセンサスをまとめ、一つのデザインに落とし込み、それを期日までに外部の会社に実際に支払いをして作っていくというのは、社会人にとってもなかなか大変な仕事です。そのような過酷な作業を仲間と一緒にやり遂げたことも、良い思い出となるでしょう。
また、もともとは高校生のイベントグッズだったのですが、定番グッズの位置を獲得するにつれ、中学生、小学生、幼稚園というように活躍の場所を広げていき、クラス全体から、部活や部活の行事といった、より規模の小さなイベントにも範囲を広げていきました。また社会人になったあとも、友達同士のちょっとしたイベントでもおそろいのTシャツを作るということも出てきました。そうなるともはや「クラス」限定ではないのですが、ここではクラスTシャツというように呼びます。

前回の「クラスTシャツについて(1)クラスTシャツのメリット」に続き、今回は「クラスTシャツの制作の流れ」について解説します。

執行部の立ち上げ

「執行部」を立ち上げます。名前は「製作委員会」でも何でも良いですが、このプロジェクトを遂行していくチームのことです。背ネームやデザインの決定は多数決でやることではありませんし、クラスの全員に参加と多少なりとも金銭的な負担を強いる以上は、なぜこのメンバーがこれを進めるのか、なんのためにやるのか、そういったことの正統性を担保しておかなければいけません。正統性の根拠は担任の先生だったり、実質的なクラスの全員の同意なり、毎年やっているという伝統なり、何らかの物があるでしょうから、それを再確認しておくことが大切です。

スケジュールの決定

最初にやることはスケジュールの決定です。
文化祭や体育祭などは開催日のはっきり決まっているものなので、Tシャツの到着はそれ以前でなければいけません。体育祭の翌日にTシャツが到着したなどということになっては意味がないですし、大変つらいことになります。
文化祭や体育祭の開催日から逆算して、いつまでに発注をするのか、いつまでにデザインを仕上げるのか、いつまでに背ネームを締め切るのか、そういったことを先に決めて、皆で同意しておきましょう。

背ネームの決定

背ネームを入れるかどうかを決めます。背ネームをいれる場合と入れない場合で要する時間が大きく変わってくるからです。
背ネームを入れる場合、一人ひとりに入れる場合はそのフレーズをクラスの全員に考えてもらわなければなりません。数分でできるものではないので、やはり1週間ぐらいは見ておいたほうが良いかと思います。こだわりだすとキリのないところではあるし、センスで決めるべきものを理屈で考え出すと止まらなくなるので、締め切りの設定と回収、督促は執行部が強めにやったほうが良いですし、最初から背ネームを入れると決まっている場合は、それができる執行部のメンバーを選ぶべきでしょう。

デザイン作成

クラスTシャツのデザインを決めます。やることは明瞭ですが、これを実際に行うのは簡単ではありません。
「良いデザイン」のTシャツを欲しがっているのは皆同じでしょうけど、何が良いデザインなのかについては人それぞれで、正解もなければ共通項もありません。全員の意見が一致することはありませんし、多数決で決めることでもありません。強い執行部に所属する数名の感性で独善的に決めてしまうより仕方のないことです。まず感性に属するデザインの決定は数人のクローズドサークルの合議制で決めればいけないこと。そしてそれに対する反対や不満はかならず出るものだから、執行部はそれを押さえつけてデザイン決定者を守らなければいけません。これが強い執行部が必要な理由です。
そして、ほぼ全てのクラスTシャツ作成会社ではデザインそのものはアドビ・イラストレーター(またはフォトショップ)で入稿します。おそらくクラスの中に一人ぐらいこれが使える人がいて、その人がデザイン作成担当になるかと思います。
デザインファイルはデザインテンプレートをダウンロードしてきて、それを加工して作ることになるかと思います。執行部でデザインのコンセプトを決め(できればクラス全員を巻き込むことが望ましい)、そのコンセプトに近いテンプレートを数種類に絞り込んでダウンロードし、それをデザイン作成担当者とデザイン決定担当者で協議しながら作り込んでいくというスタイルが良いでしょう。
もしイラストレーターを扱える人がいないか、そういった体制を作ることができない場合は、一からデザインを作るのではなく、ウェブ上からデザインできたり、すでに出来合いのものを選ぶということになるでしょう。そのときもデザイン決定にまつわる問題の質は同じですが、自由度が少なくなる分だけ管理は楽になるとはいえます。

業者選定

以下2つの要素からTシャツ作成業者を選定していきます。

1. 個別の背ネームを入れるかどうか。
2. イラストレーター入稿か、それ以外があるか。

クラスTシャツなどで検索するとたくさん出てきますので、上記の2項目でふるい分け、あとは値段や納期をチェックしていきます。イラストレーター入稿以外とは、Web上で編集入稿が出きるタイプのサービスや、FAXで手描き原稿を送り、その原稿をプロがある程度それっぽいものに起こしてくれるというものです。
Tシャツの質感については、印刷前のサンプルを有償無償で送付してくれたり、同じ材質の生地のハギレを送ってくれるなどしてくれる会社もあります。もし時間的な余裕があるのならばそういったことをして、この素材のものでよいかどうか確認をしたほうが良いでしょう。
価格についてはあまり神経質にならないほうが良いかと思います。業者によって値段の差はありますが、加工料やマーケティング戦略によってついている値段差ですので、相場や原価を知らない人が叩くだけ叩いて1円でも安くするというのはあまり良い手とはいえません。こういった事が起こる場合、「それもっと安くできるんじゃないか」「騙されているんじゃないか。確認したほうが良い」と根拠なしに主張する人が意思決定の場についていることが多いので、先に金額上限やターゲットとする値段帯を決めて、あとは担当者に一任し、その担当者の決定を守るというようにするほうが良いでしょう。
なお、昔は学校の近くにある会社が良いと言っていたのですが、今どきはそれは関係ないかと思います。

見積もり提出

この過程は業者によって異なります。見積もりなしのポッキリ価格を取っているところもあれば、見積もりを提出してそれを承認という過程を踏むところもあります。ここではオーソドックスなやり方を記します。

各業者のページに見積もり依頼フォームなどがありますので、そこから見積り依頼を出します。そのときにデザインや印刷方法も指定します。分からないことがあればここで質問をしたほうが良いので、分からないことは分からないとはっきり書いて送ったほうが良いでしょう。

見積り依頼を出すと通常1営業日ほどで見積もりが返信されてきます。発注の場合はその旨返信をします。修正や変更がある場合は見積もりの段階で行います。発注後の変更はできませんので注意しましょう。
納期は会社や発注内容によりけりですが、通常は1週間から10日はかかるものですし、どのようなトラブルがあるか分かりませんので、なるだけ早めにしたほうが良いです。

発注

発注してしまうと通常はキャンセルや変更はできません。もしそれをする場合は違約金が発生したり、納期が変更になったりします。発注後にも軽微な修正を主張したりする人が出てきたりしがちなので、発注後のキャンセルや修正に対する決まりを事前に調べておくと気まずいトラブルを避けることができるでしょう。

受取

クラスTシャツを店頭で注文した場合は別ですが、今は多くの場合ネットでの発注になっているので、宅配便等で配送されてきます。このとき決済が料金着払いで、到着したときに代金を支払うということが多いですので、事前に料金回収をしておくと良いでしょう。

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