コラム No.9
クラスTシャツについて(1)
クラスTシャツのメリット

クラスTシャツについて(1)クラスTシャツのメリット

クラスTシャツとは、文化祭や体育祭などの学校のイベントのときに着る、クラス全員でおそろいのTシャツのことです。1990年頃から普及しはじめ、現在では定番のアイテムになっています。昔は既成のTシャツにワンポイント入れる程度だったデザインも、現在はさまざまに進化しました。
しかしそんなクラスTシャツも、全部の工程を見ていくとなかなかハードな制作物です。ほぼ素人に近い数十人のコンセンサスをまとめ、一つのデザインに落とし込み、それを期日までに外部の会社に実際に支払いをして作っていくというのは、社会人にとってもなかなか大変な仕事です。そのような過酷な作業を仲間と一緒にやり遂げたことも、良い思い出となるでしょう。
また、もともとは高校生のイベントグッズだったのですが、定番グッズの位置を獲得するにつれ、中学生、小学生、幼稚園というように活躍の場所を広げていき、クラス全体から、部活や部活の行事といった、より規模の小さなイベントにも範囲を広げていきました。また社会人になったあとも、友達同士のちょっとしたイベントでもおそろいのTシャツを作るということも出てきました。そうなるともはや「クラス」限定ではないのですが、ここではクラスTシャツというように呼びます。
ではクラスTシャツはなんのために作るのでしょうか?一般的に下記のような目的があると言われています。

一体感の向上

体育祭でも文化祭でも、クラスが一つになった一体感を演出することができます。各クラスやチームで同じデザインのTシャツを身に着けているだけで特別感や高揚感も湧いてきますし、同じ目標や目的に向かって一致団結するときに、クラスTシャツという目に見えるものの共有はひとりひとりのモチベーションの高まりにもつながります。部活やクラブ活動とは違いクラスメートはさまざまな性格、特技、嗜好、趣味を持っています。また普段は特定の中の良いグループに分かれていてあまり口をきいたことのないような人が多いというのもよくあることでしょう。そういったクラスメートが一丸となって取り組んでいくためには形から入るのも良いことです。

写真写りが良い

学校行事の際に普段と変わった服装をしていると見栄えが良くなりますし、皆が同じ格好をしているのは写真に迫力が出ます。
特に今の学生生活はインスタグラムなどのSNSにスマホで撮った写真を投稿することとは切り離せません。クラスTシャツの目的も元々は一体感の向上のほうが大きかったのですが、今ではインスタ映えする写真を撮ることのほうがメインです。

宣伝になる

文化祭で模擬店を出すときに、その宣伝をTシャツにデザインしてしまえば強力な宣伝ツールになります。各クラスや各チームも、他とは違うということをアピールするために一番センスが良く話題になるデザインを考えますので、そういったものを着ているとたくさん人がいるところでも分かりやすく出店名や企画を伝えることができます。

思い出として残る

写真や映像も良いですが、クラスTシャツは具体的なものとして思い出の品になります。同窓会などに持ち出してくれば当時の感覚が蘇ることは間違いなしです。記念としてずっと残しておけるものなので、有効活用していきましょう。
お気に入りのデザインで皆の名前が入っていたり、自分の思い入れがあるようなTシャツならば、普段着として活用しても問題ありません。
外で着るのが少し恥ずかしくてもスポーツ着として活用するのはありです。Tシャツはもともとがスポーツ着なのですし、学校の中で切るのならば違和感はありません。また、家の中で着るパジャマとして使っても良いでしょう。家族や気心の知れた友人にしか見られないものですから恥ずかしさもなくなると思います。

クラスTシャツの歴史

Tシャツの始まりは第一次世界大戦の頃と言われています。当時アメリカ兵に支給されていた軍服はウール素材のもので着心地が悪く、特に夏の暑さには適していませんでした。ヨーロッパ兵が着ていた綿の肌着を知りそれが大変快適だったので、綿の肌着はアメリカ軍の公式肌着として採用されました。
この綿の肌着は1920年代にはT-Shirtsとして辞書にも収載され、公用語として認知されていきました。第二次世界大戦ではアメリカ陸海軍の標準アンダーウェアとしてTシャツが取り入れられました。しかしこのころはまだあくまでインナーの位置付けでした。
第二次世界大戦後、復員学生が上着無しで着続けたためアウターとして定着していきました。アメリカの大学の体育の授業でスポーツ技として貸し出されるようになり、返却用に数字をプリントしたのがプリントTシャツのきっかけと言われています。 その後一般学生の間でもこのプリントTシャツが人気となり、校章や学校名の入ったTシャツが大学の生協で売り出されました。大手企業の販促グッズとしてロゴを印刷したものが登場し、70年代にはそのロゴや会社名をもじったパロディデザインのTシャツも出現しました。

もともと出発時よりTシャツは若者らしさや、自己表現、メッセージ性、新しいグループの形成の名乗りというイメージを持っていました。それを加速したのがシルクスクリーン印刷や熱転写などのプリント技術の進歩であるといえます。これにより、より小規模の印刷が可能になり、オリジナルのプリントTシャツを作成することが可能になりました。 クラスTシャツの起源は明瞭ではありませんが、1980年代末には高校のイベントでの存在が確認されていますので、おそらくそのあたりだと思われます。それ以前にも「団結」「優勝」などの文字をプリントしたものはあったようですが、おそらくそれに、80年代のツッパリブームで変形学生服(学ラン)やそれの刺繍がはやったこと、プリント技術の進歩、Tシャツが元々持っていた若者文化・自己表現・グループ形成性などが融合して誕生したものと思われます。また、コミケなどが登場してきたように、小ロットの印刷物というものが可能になる社会状況があったものと思われます。

その後クラスTシャツは学校イベントに欠かせないものとして定着していき、中学生や小学生、さらには親子など、一体感を演出したいというニーズのあるところのどこにでも普及するようになっていきました。

背ネームとはなにか

背ネームとは野球のユニフォームでいうと選手名が書いてある部分に入る短文のことです。クラスで共通のものを入れる場合と、一人ひとり別々のものとがあります。(一人ひとり別の印刷は対応している会社としていない会社がありますのでご注意ください。)

もともとはその通り名前を入れることが多かったのですが、ここはとても目立つ場所であるので、だれかがただ名前を入れるだけではもったいないと思ったのか、あだ名やニックネームを入れるようになり、だんだんウケ狙いが進化を続けていきました。内輪ネタや個人的主張などさまざまなメッセージを発信するようになりました。おそらくこれはSNSの影響でしょう。
Instagramで #背ネーム のハッシュタグで検索するとたくさんの背ネームを見ることができます。

背ネームで多いのは、クラスTシャツのユーザーが主に中高生ということから、自虐ネタ、内輪ネタ、自慢、ペアやトリオ、単に面白い内容、好きなアイドルの名前、パロディなど。
クラスTシャツの企画やデザインやノリというものはどうしてもスポーツのできる学生や、目立つタイプの学生に引っ張られがちになります。そもそもTシャツというものが若さ、自己主張、所属性のアピールである以上当然の帰結であるといえます。しかし、こういった学生イメージがやや古臭くなってきていることも確かであり、一昔前の世代が同調圧力だが仕方ないと思っていたものを、そもそもTシャツはパーソナルメディアであり事の本質はSNSと変わらないということを逆手に取って、実際のSNSと融合させてしまったといえます。その結果、背ネームは従来のクラスTシャツでは包摂できなかった人たちにイベントへの参加を促すものとなり、本来の目的である一体感の向上に一役買っているのではないかといえます。

次回:次回:クラスTシャツについて(2)クラスTシャツの制作の流れ