コラム No.1
プリントTシャツの歴史~始まりから現在まで~

プリントTシャツの歴史~始まりから現在まで~

プリントTシャツは、いまや普段の生活で着ることはもちろん、その時代のトレンドを象徴するカルチャーとして愛され、様々なジャンルに定着しています。世界的にプリントTシャツが一般に普及するようになったのは戦後で、急速に人気が拡大したのが1960年代から1970年代にかけてのことです。 最近は、1990年代に流行った90年代のロックTシャツの人気が高まっていますが、そもそもTシャツが一般的に普及されるようになったきっかけや、プリントTシャツの起源については知らない人も多いのではないでしょうか。 プリントTシャツの起源、つまりTシャツの始まりから現在に至るまでの時代の流れを知り、どのような想いが込められてプリントTシャツが生まれたのか、その背景を知ることができれば、1枚1枚のTシャツにより一層愛着がわいてくるはずです。

ヨーロッパで生まれたTシャツ

Tシャツの起源は、19世紀のヨーロッパと言われています。Tシャツと聞くとアメリカを連想される方も多いかと思いますが、イギリスやドイツなどヨーロッパが発祥との諸説が有力です。ヨーロッパで始まったとされるTシャツは、今のようなファッションとしてではなく、トップスの中に着用する肌着(アンダーウェア)として定着していました。

アメリカ陸軍がきっかけでTシャツが普及する

ヨーロッパで生まれたとされるTシャツは、その後、アメリカ軍兵士が着用する公式の肌着として採用されたことがきっかけで普及します。第一次世界大戦中、アメリカ軍兵士はウール素材で作られた肌着を使用していました。ウール素材で作られた当時の肌着は、生地が分厚く重量もあったため、夏の暑い時期に着る肌着としては満足のいくものではありませんでした。 一方、すでに綿素材の肌着が普及していたヨーロッパでは、兵士の制服に夏の暑い日でも快適に過ごせる綿素材の肌着を採用していました。ヨーロッパ軍兵士が着用する快適な素材を目にしたアメリカ軍兵士は、彼らが着用していた綿素材の肌着を国に持ち帰り、それを似た綿素材の肌着を開発します。アメリカ軍はその後、綿素材の肌着を兵士の制服として正式に採用しています。 ヨーロッパ軍兵士が着用する肌着を真似て作らえたアメリカ軍兵士の肌着は、今日まで続くTシャツのもととなった型と考えられていて、これがきっかけとなりTシャツが一般的に広く普及し始めます。

アメリカ海軍が帰還しトップスとして定着し始めたTシャツ

第1次世界大戦当初、Tシャツはトップスの中に着用する肌着としての存在でした。当時は、肌着としてのTシャツをトップスとして着ることがまだ恥ずかしいことと捉えられていました。
インナーとして定着していたTシャツが、徐々にトップスとして着用しても恥ずかしくないと認識されるようになったのは、アメリカ海軍が帰還し、トップスとして着ていたことがきっかけと考えられています。海軍は、水に濡れることが多いため、濡れても動きやすく、乾きやすいTシャツはとても重宝されていたのです。
アメリカ軍兵士が帰還すると、海軍たちが着用していた綿素材のTシャツが大衆にも急速に広まります。帰還した兵士が着用していたTシャツは、伸縮性はもちろん、吸水性や肌触りに優れていたため、トップスとして着用しても恥ずかしくない衣服として徐々に一般にも定着していきました。

1930年代に生まれたプリントTシャツ

第2次世界大戦以降、アメリカ軍兵士が着用したことがきっかけで普及したTシャツは、その動きやすさから労働者や教育機関でも作業着や運動着として人気が高まります。アメリカの大学では、動きやすく快適なTシャツを体育の授業の運動着として採用し、生徒に貸し出すようになります。そんな時に生まれたのが、数字や校章などのロゴデザインを生地に直接プリントしたプリントTシャツです。
アメリカ国民の多くがTシャツを着るようになった1939年には、映画の宣伝用としてプリントTシャツが採用されます。文字やイラストがプリントされたプリントTシャツは、それ自体がメッセージを伝えるアイテムとなるため、宣伝や選挙運動などにも活用されていました。

プリントTシャツが広まるきっかけとなったバンドTシャツ

プリントTシャツが急速に広まるきっかけとなったバンド、それが60年代のヒッピー文化の代表格とされるアメリカのグレイトフルデッドです。
幅広い音楽性が魅力のグレイトフルデッドには、“デッドヘッズ”と呼ばれる熱狂的なファンたちがいて、彼らの中にはバンドの全米ツアーに帯同して生活する人もいました。デッドヘッズの中には、バンド名やバンドの象徴であるドクロと薔薇が書かれたロゴなどをプリントしたタイダイTシャツを販売している人もいました。
当時は、グレイトフルデッドに限らず、バンドオリジナルのバンドTシャツをメンバー全員が着て連帯感や結束力を高めようとするバンドが多く、プリントTシャツが世界的に広まるきっかけとなりました。

ヒッピー・ムーブメントで広まったプリントTシャツの今

グレイトフルデッドなどの熱狂的なファンを中心に起こったヒッピー・ムーブメントにより、プリントTシャツは瞬く間に普及を広めました。日本では、1970年代頃からプリントTシャツが普及し、その後は加工技術の発達に伴い、素材や印刷方法などにこだわり作られたTシャツが次々と登場しています。 プリントTシャツが普及するまでの歴史を紐解いていくと、Tシャツは時代ごとに役割をかえて私たちの生活に定着してきたことがわかります。プリントTシャツは衣服の中でもとてもシンプルなアイテムですが、今回紹介したような歴史背景や、それぞれに込められた想いを知ることで、これまで以上に魅力を感じてもっともっとTシャツが好きになるはずです。